【青井記念館美術館】第28回 青井中美展

 

第28回青井中美展

2021年11月12日(金)― 11月28日(日)

第28回青井中美展の開催にあたって

富山県立高岡工芸高等学校 校長 篠原俊一郎

 このたび、第28回青井中美術展(中学生美術展)を開催しましたところ、県内42校の中学校から585点もの応募を頂きました。今年も、絵画、デザイン、彫刻、工芸の分野から、若い感性の秀作作品288点が入選・入賞し、青井記念館美術館に展示いたしました。

 この青井中美展は、本校創立100周年を記念して始まったもので、以来、四半世紀を超える歴史を有しております。中学生諸君からの作品一つ一つは、第一線でご活躍の作家・デザイナーの各先生に鑑審査を頂いております。

 入選・入賞された方には心よりお祝いを申し上げますとともに、出品された中学生の皆様には、本美術展を契機としてより一層創作意欲を高め、作品制作の励みとしていただければ幸いです。

 さて、本校は明治27年に「富山県工芸学校」として、若き美術家・工芸士の養成学校として開校され、日本有数の美術系学校として全国に知られていました。

 卒業生の中からも、芸術院会員や重要無形文化財保持者(人間国宝)など日本を代表する優れた芸術家が多く輩出されています。

 このような由緒ある地で、県内の中学生を対象とした美術展を開催し、優秀作品を一堂に展示することは大変意義があり、絵画、デザイン、彫刻、工芸の各部門の応募数も多く、作品内容も充実していることは主催者として誠に喜ばしいかぎりです。

 おわりに、審査にあたられました先生方をはじめ、これまで生徒の指導に当たってこられました先生方、並びに企画運営にご尽力いただきました関係の皆様に厚くお礼申し上げます。

 


 

第28回青井中美展 青井大賞

 

 

「ようこそ」

高岡西部中学校2年 藤田   有 

 


 

青 井 中 美 展 審 査 評

絵 画 部 門

  杉山直孝・大村雅章・上杉靖吾

  絵画部門には例年より多い256点の出品があり、内104点を入選とした。構図や色彩を工夫し細部まで丁寧に描かれた作品が多く、その中でも、高い表現力に加え作品全体を通して作者の表現意図が強く伝わる作品を入賞とした。今年は人物をモチーフとした作品が少なく感じた。1,2年生の作品も含まれており、さらなるレベルアップとチャレンジに期待したい。

青井大賞「ようこそ」 藤田 有

 色彩の豊かさ、細密な描写、モチーフによる空間の構築すべてにおいて高いレベルの作品である。アクリル絵の具だけでなく部分的に色鉛筆を使用して表現の幅を広げている。装飾に深くこだわったことが独特の世界観を醸しだし、観るものを魅了する作品となっている。

富山県教育委員会教育長賞「終発」 名田 纏 

 対象を正確かつ緻密に描く力、色数を抑えながらも豊かな色彩感を感じさせる表現力ともに中学生レベルを超えた力作である。透視図法を用いた構図と色彩のコントラストによって、静寂な空気感の中に強い意志を感じ取ることができ、その心象表現も素晴らしい。

チューリップテレビ優秀賞「和」 小島 基遥

 地色の黒紙の上に赤と白を基調とした色彩が映え、日本画的な表現となっている。大小の金魚の位置取り、効果的に配置された枝や技法を駆使した水の表現も巧みであり、それらが独特の空間を創り出し、非常に完成度の高い作品となっている。

 


 

彫 刻 ・ 工 芸 部 門

  般若 保 ・ 枡田篤史

 今回の彫刻部門には76点、工芸部門には135点の出品があったが、展示空間の制約もあり彫刻46点、工芸58点の作品を入選とした。陶芸作品の出品が多く、いずれも秀作揃いではあったが、厳選せざるを得なかった。和紙や洋紙、染色やフェルト、針金や糸、金属板の鍛金や木材片の利用など、いろいろな素材の組み合わせや加工技法で楽しんで制作しているのが伝わってくる。

富山県知事賞「また独り」 河島 由依

 目や鼻、口などの顔立ちが整っており、頭と首、身体のバランスも良く自然であるため、ずっと見ていることができる。腕を身体の後ろに回し、首を突き出すことで感情や物語が伝わってくる。FRPによる加工と着色の技術力も高く、大変秀作である。

優秀賞「豪猪」 小島 巧己

 段ボールやボール紙を、豪猪の部位で使い分けることで毛並みや爪を上手く表現している。岩に登った豪猪が見る先にある物は何か、作品を見る者の想像力をかき立てる作品である。

優良賞「久文」 篭 雅姫

 発砲スチロールで造形し、表面に和紙を貼ることで特有のテクスチャーに仕上げてある。絵で表現するだけでも難しい獅子頭を均衡を保って造形し、唐草文や渦巻文などを細部まで彫り込んだ技術力の高い作品である。

 


 

デ ザ イ ン 部 門

  玉井晶夫 ・ 佐藤克己

  新型コロナウイルス感染症が沈静化しているものの、県下の中学生は、学校だけでなく家庭内でも各美術展に向けて制作していたと思われ、このコロナ禍で、県青少年美術展なども中止になり、当校の青井中美展に切り替えて出品している中学生も多かったと思われる。

 令和3年の中美展のデザイン部門での出品数は、過去4年間の中で最多となる138点になり、入選は80点であった。いずれもレベルの高い作品が見受けられた。

最優秀賞「虹」 池田 千尋

 写真や印刷の部分を切取りしてイメージをつくりあげるコラージュ手法の作品かなと思っていたが、画面全てが手描きであり素晴らしい。ひとつひとつ丁寧に描き上げ、その上統一感もあり、楽しさで見る人をひきつける。

富山新聞社優秀賞「夢みたショコラとの世界」 松嶋 瞳奈 

 クマとショコラに囲まれた少女。楽しさが伝わってくる。女性らしい柔らかさと、メルヘンチックな色使いは子どもが喜びそうな雰囲気である。若さのある素晴らしい作品。

 


 

第28回青井中美展 入賞作品​

富山県知事賞

「また独り」

戸出中学校2年 河島 由依 

富山県教育委員会教育長賞

「終発」

牧野中学校3年 名田  纏

   

最優秀賞

「虹」

牧野中学校3年 池田 千尋

優秀賞

「豪猪」

氷見北部中学校3年 小島 巧己

   

富山新聞社優秀賞

「夢見たショコラとの世界」

小杉南中学校3年 松嶋 瞳奈

チューリップテレビ優秀賞

「和」

庄川中学校3年 小島 基遥


 

 

審査会

10月30日(土) 尚美会館

 

 

 

表彰式

11月12日(金) 尚美会館 15:00~

 

 

 

講評会

11月12日(金) 青井記念館美術館 15:55~